- 防災・減災
遠隔解錠が可能なキーボックスで、避難所運営の負担を減らす(ビット・パーク株式会社)
公社の「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」を利用してリモート鍵収納箱「ココBOX」を改良!
開発概要
「+Something」をモットーとして掲げ、型にはまらない柔軟な思考で様々な商品・サービスを開発してきたビット・パーク株式会社。インターネット黎明期よりWeb関連事業を開始し、自社プロダクトの開発・提供に注力しています。今回、東京都中小企業振興公社(以下、公社)の令和5年度「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」を利用して、同社のコア技術であるGPSシステムと通信技術を組み合わせたリモート鍵収納箱「ココBOX」を改良しました。
【インタビュー】
開発の経緯について代表取締役の野口 修氏、「ココBOX」の技術営業を担当する福島 親康氏に伺いました。
「避難所の鍵が開かない」という課題から生まれた「ココBOX」
――リモート鍵収納箱「ココBOX」開発のきっかけを教えてください。
野口氏 開発のきっかけは、2019年に相次いで発生した台風被害でした。特に関東地方を襲った台風19号は各地で大きな被害をもたらしました。関東でも利根川が氾濫し、多くの世帯が避難しましたが、残念ながらいくつかの避難所はスムーズに解錠ができない事態に陥りました。理由は、避難所の鍵を持つ職員や自治体担当者の現場到着が遅れたためです。
鍵の管理を特定の人に任せる方法では、どうしても管理者の負担が大きくなり過ぎます。危険度の高い災害時に、鍵の保管場所と避難所を往復する運用は現実的ではありません。
そこで考案したのがリモート鍵収納箱「ココBOX」です。平常時はセキュリティ性能の高い金属製の箱で鍵を盗難から守り、緊急時はリモートで解錠して、誰も危険を冒さず確実に避難所を開設できます。
――このアイデアを実現できた背景には、御社がこれまで培ってきた技術力があるようですね。
野口氏 当社は「+Something」をコンセプトに、既存技術に新たな価値を付加することで、様々なソリューションを生み出してきました。
例えば、2017年にはNTTドコモのGPSデバイスを活用した災害救助活動の支援ツールを開発しました。救助活動を行う方々の位置情報を可視化し、安全で効率的な活動を支えるサポートツールで、平成29年度の「先進的防災技術実用化支援事業(「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」の前身事業)」でも採択されています。
さらに、GPSデバイスの通信機能にも注目し、人感センサーを組み込んで常時・非常時に関わらず高齢者を見守れる「あんしんココバッグ」という商品も誕生させています。
同様に「ココBOX」も、当社の技術を複数組み合わせた製品となります。GPSデバイスの通信機能を活用したボックスの開閉感知や遠隔制御機能を組み合わせ、避難所への設置を想定したリモート鍵収納箱という新製品を生み出しました。
解錠システムの改良で実用性を向上
――「ココBOX」改良に助成金を活用されましたが、具体的にどのような改良を行ったのか教えてください。
福島氏 令和5年度の改良では、緊急時に確実に解錠できるための機能を追加しました。主な改良点は、「鍵の内在管理」「電源の長寿命化」「通信制御機能の搭載」の3点です。
特に電源の長寿命化は重要な改良点です。従来の鍵収納箱は電池式で、3か月に1回は交換が必要でした。そこでAC電源からの安定的な電力供給を受けつつ、内蔵バッテリーを併用することで電池交換なしでも、いつでも使える状態を維持できるように改良しました。内蔵バッテリーは、万が一、停電になっても24時間は開閉操作ができる蓄電量を有しています。
また、双方向通信の実現により、「管理者→『ココBOX』」への通信だけでなく、「『ココBOX』→管理者」への通信もできるようになりました。例えば「扉が解錠されているか施錠されているか」について管理者がリモート検知できるようになり、有事の際に施錠されていた場合には現場から離れた管理者からも解錠指示を出せるようになりました。
さらに、バッテリーの電圧や温度、震度などを「ココBOX」側がリアルタイムで測定することも可能となり、今後の様々な活用も視野に入れながらデータの蓄積・分析を行っています。
――公社は「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」による支援の一環として、「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」への出展もサポートさせていただいています。反響はいかがでしたか?
野口氏 大変多くの反響をいただきました。これまでいくつかの展示会に出展してきましたが、特に「危機管理産業展」は自治体の防災担当者が多く来場され、そのぶん確度の高い案件も生まれやすい印象です。展示会での出会いをきっかけに、多くの自治体との商談機会が得られています。
特に、当社として大きなメリットだと感じたのは、展示会でお会いした自治体や企業から課題や要望を直接聞けたことです。自治体ごとのルールや通信環境、気候の特徴など様々な視点からの意見には「ココBOX」をさらに改良するヒントが多く含まれています。実際、そうした声から改良につながり、導入まで至ったケースもあります。
改良を重ねる「ココBOX」、自治体・企業で導入進む
――「ココBOX」は現在も改良を繰り返しているそうですね。
福島氏 はい。継続的に改良を重ねて、Jアラート(全国瞬時警報システム)連動機能も実装しました。
従来、避難所用の鍵収納箱は、特定の震度以上の揺れを感知した場合に自動的に解錠される自動解錠機能が多く採用されてきました。しかし、それだと津波被害に対応できないことに加え、局所的に揺れが小さいために箱が開かない、といった問題も発生していました。そこで、Jアラートの配信と連動して、登録済みの「ココBOX」が即座に解錠される仕組みを追加しました。
現在、複数の自治体と「ココBOX」導入のための改良・調整が続いており、今後も全国各地での導入が予定されています。
――お客様は自治体関係者が多いのでしょうか。
野口氏 自治体だけでなく企業からのお問い合わせも多いです。他製品と組み合わせた活用も広がっており、例えば、医療用コンテナを提供する某企業様には、リモート操作による解錠システムとして「ココBOX」を活用いただいています。
医療用コンテナとは、医療機材や空調設備、発電機などを搭載したコンテナで、災害時に現地で医療を提供するために利用されます。移動式ゆえに鍵の管理において紛失のリスクや担当者の責任の重さが課題でした。「ココBOX」の導入でそれらの課題が解決し、さらに地図上で医療用コンテナの位置が把握できるようになったことで、管理の効率化も実現しました。
全国への普及を目指して「フェーズフリー」に挑む
――「ココBOX」の今後の展望を教えてください。
福島氏 災害時のインフラとして、全国への普及を目指しており、そのためにこれからも改良を重ねるつもりです。直近では「通信手段の多様化」「フェーズフリーの実現」に取り組んでいます。
現在は特定通信キャリアの回線を活用しており、なんらかの原因で回線が切断した場合、「ココBOX」の状態がリアルタイムで同期されなくなるなどの不具合が発生する可能性があります。そのためWi-Fi通信やローカル通信など、様々な通信モードに自動的に切り替える機能を実装することで、通信の安定化を目指します。加えて格安SIMなど通信費が安い回線の利用も検討中です。毎月の通信費を抑えたいという自治体は多く、その声に応えるオプションとして提案することも考えています。
他方、「フェーズフリー」は日常と非常時の境界をなくすという考え方ですが、「ココBOX」は平常時(日常)における公共施設の運営効率化にも役立つと考えています。例えば、土日にスポーツ等レクリエーションに使用するなど例外的に学校を開放する際の鍵の受け渡し、というようなシーンにも活用いただくことができ、職員の負担削減にもつながります。その他にも、活用できるケースは多いと思うので、「フェーズフリー」の観点から様々な提案をしていきたいと考えています。
――「安全・安心」をテーマとした製品・サービスを開発している方々へメッセージをお願いいたします。
野口氏 公社の事業を積極的に活用されることをお勧めしたいと思っています。特に「安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業」については開発・改良の費用はもちろん、その後の販促活動の費用も助成対象になるほか、展示会への出展支援までサポートいただき、非常に助かりました。当社の場合、公社で作成している事例集『危機管理製品カタログ』掲載のPR効果も大きく、特に自治体や銀行など公共性の高い組織からの信頼につながっています。
当社ではこれからも「安全・安心」をテーマとした製品の開発・改良に力を注ぐ予定です。特に、少子高齢化が加速する未来を見据え、人手のかからない社会インフラ整備に貢献していきたいと考えています。「+Something」の発想で、これからも社会課題の解決に貢献する製品・サービスを生み出してまいります。
▶「ココBOX」の製品紹介サイトはこちら
▶「ココBOXⅡ」紹介動画はこちら
企業情報
| 社名 | ビット・パーク株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 〒152-0034 東京都目黒区緑が丘2-5-10 ローゼンボルグ自由が丘2F |
| 設立 | 1994年3月 |
| 事業内容 | ソフトウエア開発、デザインクリエイティブ、各種防災ソリューションの提供 |
| サイトURL | https://www.bitpark.com/ |


